ブックデザインラッシュ〜その12 「ONLY GOD KNOWS」の巻

 

ワッツア!

 

ブックデザインラッシュ第12日!

 

 

 

はいちの楽しくなる数学 中学2年 〜とある男が授業をしてみた〜

著:葉一(はいち) (文英堂)

 

 

 

さあ、はいちの数学中学2年versionです。

きのうもはいち先生のようつべ(youtube)動画、人気あるんだってよ、ってお話しましたが、

本書の特徴はですね、ページセクションごとにQRコードで動画への導入があり、

先生の授業動画を受けながら、手もとで学習を進められる、というのがウリ。

 

 

最初っからスラスラ解ける子にはわざわざ動画は不要と思うけど、

数学もともとニガテな子や、授業で行き詰まっちゃった子にはいいシステムですよねー。

なんだったら、

学校でヘタな教師の授業を受けるよりこっちのが効率よく学べるのでは?とか思ったり。

 

 

 

 

話は大きく飛びますが

たとえば、アメリカ。

ある特定の宗教(これがかなりの割合いる、または思想信条を持つグループが、

子供を学校に通わせるのを拒否って、自宅学習でハイスクール卒業レベルの教育を受けさせ

そのまま社会に出してしまう、なんてことはよくあることのようで。

 

 

 

▲ひところ話題になった「ジーザス・キャンプ」でもみてください。

 

 

この動画↑

じっさい教育と思想は完全に分離することができるのかって問題は置いといたとしても

ちょっとこの教育方法、背筋がうっすら寒くなってきません?

(この動画とはぜんぜん違う観点だけど、この日本でもいまだに思想教育が行われてるわけで...)

 

 

キリスト教うんぬんは日本と文化背景が違うのでアレなんで、

話をもどして、ここ日本。

アメリカだってあーなんだから日本も在宅学習なんてのが

わりかし普通なことになってきたりして。

少なくともそれが可能な環境にはなりつつあります。

 

 

そーなると学校に行く意味ってナンだ?

 

 

という疑問が生まれてきちゃうんですけど

まー学校って多種多様な子供や大人が集まるわけで、

否応無く個人を社会という括りで相対化できる場でもあるんで、

人間の本能としても競争原理も働いて、

学習はもちろん、それ以外のものが開花する場所でもあるよね(おれは、自分は絵がうまい、という事実を小学校ではじめて認識しました)

 

 

学外、という直接的に学校の影響が及ばないエリア下でも、

クラスの仲間でイタズラしに出かけたり、ゲーセン行ったり、駄菓子屋に入り浸ったりと、

そーゆうことが社会性を身につけ云々...などとTVのコメンテーターじみたことをエラそーに言うつもりないけど

事実、やっぱ社会という相対の中で人は生きるしかないわけだ。

そのうえで未来へのヒントやインスピレーションは家を一歩出たとたん

道端に街に学校に無数にころがっているわけで、

それを子ども自らの意思でグラブすること&

それを社会という磨き砂で磨かれてこそ、はじめて価値が生まれる。と啓ママは思ってます。

 

 

なんかまとまりない文章になっちゃった。

いや、教育ってのはホント難しいですねー(←大きく総括した風にしてごまかす。人呼んで鳥越スタイル。)

 

 

 

 

話を本書にもどして、

たとえばyoutube授業などといった「新しい学習スタイル」をデザイン化するにあたって

いままでの学参らしくない新しさやカジュアルさを打ち出そう、

というのが発想の根本。

 

 

▲初回提案のプロトタイプA(ボツversion)

カバーがキリヌかれ、はいち先生がポップアップするというプラン。

 

 

 

▲帯はトレーシングペーパーだったりと、各部でやりたい放題

 

 

ほぼ完成デザインのままのプロトタイプB。

ただしこの時点で下半分は帯になっていました。

amazon対策のため(帯ははずされることが多い)、カバーと帯を一体化することに。

 

 

 

メインのタイポグラフィーやデザイン要素はほとんどがおれの手書き

はいち先生の「ホワイトボードにマジックで書き込んでゆくスタイル」のイキフン(雰囲気、ね)

デザインで踏襲したって感じかな。

じっさいこの絵文字は画用紙に2mm太のマジックでぐいぐい書いたものをスキャンして使用。

ラフで自由でやさしい感じをたいせつに、

かつ学参としてギリギリセーフ(もしくはギリギリアウトあたりを狙ってデザイン・フィニッシュしました。

 

 

 

お次は造本&印刷加工。

用紙は、嵩高で空気がふんわり入ったケナフGAをセレクトするも、えっ!?廃版?

もう〜〜。はじめっからケナフを想定してデザインしてたのにぃ。(紙って廃盤って意外と多いんですよ)

代替品である新製品竹はだGAもまだ供給が安定してないということで

現場からの提案もあり、最終的にはアラヴェール/ナチュラルに決定。

ちょっと生成りがかった、ラフな手触り感のある紙です。

 

 

つづいて表面加工。いかにも学参的なPP加工(ポリプロピレン・フィルム貼り加工。あのテッカテカに光るやつ)はやめて

グロスニスで紙の風合いを生かして仕上げました。

そしてその上にUV隆起=グロス(おなじグロスでもグロスニスとはまったく違う。点字に使われてる透明で盛り上がるインクです)

赤文字や人物を浮き上がらせました。

 

 

マットでラフな用紙に、グロスのテカテカをピンポイント爆撃!

ということで完成しました!

 

 

作業上いろいろあってスタートしてから完成までけっこう時間かかっちゃいましたが

ぶじこの7月に2冊同時に発刊〜。

本文も4Cカラーでわかりやすくやさしい構成になってるので

中学生のみなさん、親御のみなさん、ぜひチェックしてください。

 

とくに数学が苦手で途方に暮れちゃってる子、学ぶことをあきらめちゃいかんぜよ!

紙の参考書からyoutubeへ。

時代は移り変わり、それに賛否はあれど、

自らを救おうとする者には必ず救いの手が差し伸べられる。

あーめん。

 

 

 

GOD KNOWS... / ENOZ

涼宮ハルヒの憂鬱「ライブアライブ」より。絵と音が一体化するアニメーションの原初快楽!