ブックデザインラッシュ〜その8 「でんか的には Good Enough」の巻
ワッツア!
ブックデザインラッシュ第8日目!
塾で教える高校入試 数学 塾技ジュクワザ100
著:森圭示 (文英堂)
▲カバー&帯あり
はい、ということで昨日ご紹介した「高校入試塾技」シリーズ、今日は「数学」。
昨日の「理科」は完全新編集版ですが、この数学そして明日ご紹介する英語は
新装版、ということでカバーを掛け変えただけもの。
▲色校がどっさり
さて高校入試、すなわち中学生用の学参である本書です。
おれの場合、ブックデザインのお仕事をいただいた時、
まず原稿をぜんぶ読んでから作業をスタートするのが通常の段取り。
しかし、この学参というやつ。
中坊の問題集なのに解いてみようとすると、けっこう難しくて難しくて...。
理数系はおろか得意の歴史(歴史の本も近日アップしますね)や地理でさえこんな感じで
いちおーおれ偏差値70近くあったはずなんですけど
義務教育の学習内容9年分、はっきり言ってぜんぶ忘れてしまいました。
▲知的レベル中坊以下の大人の図
ま、おれに限らずお前らもだいたいこんなもんだと思うけど
世の大人の多くがそうだからこそ、「学び直し」なんてのが静かなブームになったりするのかね。
この学参の仕事をしていると否応なしに
学校の教育と、実社会で必要とされることが、なんだか乖離してる件がすごく気になってしまいます。
教育って、子供ひとりひとりに生きる目標みたいなものが根っこにないと
ただのパズル・ゲームに見えてしまうっていうかね。
が、しかし
小さなときから情報を詰め込めるだけ詰め込んで、脳内HDの容量を広げる、っていう意味や
ある事象を論理的に弁証する能力を構築するって意味では
おれは「詰め込み教育」には大賛成、っていうか他の選択肢は無いとすら思ってるんですよ。
教育を、単にテストを解くためのパズルじゃなくて、
理数系・文系などの枠を超えて子どもが生きるツールとして自由自在に使えるようにするため
〜例えば戦前なら修身という科目があったように〜 受験科目とは別口で
その面を、倫理的だったり抽象的だったりの方向から側面支援する必要があるんじゃないかなーと思います。
僭越ながら、だからこそブックデザインも、
いかにも学参! 的なスクエアな見えヅラにして安心するのはやめて、
好奇心や遊び心みたいなものが伝わるようなブックデザインをおれはし続けるわけです。
オトナが楽しく生き生きと働いて、ハチャメチャに遊ぶ姿をしっかり見せとく義務がおれらにはある!
+
さて、
昨日は本デザインの発想の話をちらっとしましたが、今回は印刷の話もちょっとだけ。
パワフルで下手くそな筆文字標語デザイン を表現するにあたって、
用紙はお習字の紙みたいなのにしようと思い
和紙のような紙目がおもしろいファンシーペーパー「新だん紙/雪」をセレクト。色校をとるも、
紙取りのコスト問題と、
(※コストを下げようとすると紙取りが横目になってしまう→縦目のほうが見た目よく・開きがスムース、耐久性も上)
ちょっとこちらと現場の問題で断念。
(※ホントにいいものを妥協を最小限に突き詰めようとする場合、息のあった現場との密なコミュニケーションと献身的な協力が不可欠。
今回は印刷所を選定する権限がおれにはなかったものでね。)
泣く泣く用紙を微塗工で刷りやすいラフ・スムース紙ヴァンヌーボ/ホワイトに変更、
まあこの紙もド定番とはいえ使いやすく質感もいい紙なのでこれはこれでOKとしよう。
質感を生かすためにマットニス引きで仕上げました。
ねんのため刷りだし立会いもキッチリ行い、ぶじ完成〜とあいなりました。
+
仕事をあまりに精神論に持っていきすぎるのは好きくないけど
好奇心や遊びゴコロをというキーワードをデザインという土俵で表現するにあたってさえ
結局、執着心や突破力(要は押しの強さ)など、好奇心や遊びゴコロとは似ても似つかない
浪花節な力技も作り手サイドに必要という二律背反アンビバレント。
おい、中坊ども。
学校で習わないオトナの世界とはこんな感じ。
しかもおれはこの世界を超楽しんでるぜ。
CYNDI LAUPER / GOONIES 'R' GOOD ENOUGH
PV全盛期の作品とはいえ異様になっげー前フリ。でもほんっといい曲!