輝け三宿映画祭(2011上半期)やっとベスト1発表!
おれこれでも10年以上下請け自営業やってんですYO。
クライアントに「忙しい?」って聞かれたら
「ぜんぜんです!」と答えたりとかさ
「ま、若干。くらい?」とかなぜか逆に聞き返したりして
日頃からがっつかなく忙しぶらない、ナウでアーバンな商業美術家を演じてみせたりしてるわけです
でも、パンパカパ〜ン!
今週進行中の仕事が15案件を突破!
装丁とか小さな広告ばっかりですが、チリも積もれば高野山。札束バッチ来〜い!
てか一本・一本がホント〜〜にありがた〜〜い仕事ってのは本心から思ってるんだけどそれらをまとめてチリと一蹴するこの背徳感。
だって、もっともっとイイ仕事がしたいんだー!
今の自分よりもっとデカくなりたいんだー!
+
と、
いかにも自称クリエイターの個人ブログ的な安い魂の叫びを終えたところで
さー三宿映画祭2011上半期の第1位!
(ラース・フォン・トリアー 2011公開 デンマーク ドイツ フランス スゥエーデン イタリア ポーランド)
ストーリー概略:子供を転落事故で亡くして以来、心を病んでしまった妻。セラピストの夫が治療を試みるため、2人のロッジがある森の中へ入ってゆく
さきごろカンヌ映画祭で“ヒトラー擁護発言”をかまして(Youtubeで見れます)映画祭から追放されちゃったお騒がせ監督、ラース・フォン・トリアー。代表作はビョークの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「ドッグ・ヴィル」になるのかな。その挑戦的な作風はつねに賛否両論が巻き起こる問題作だらけ。
三宿映画祭第3位の「ゾンビランド」や2位の「息もできない」は、それぞれが劇中で定義されたリアリティを観客とまず共有して、それからちゃんとストーリーテリングが語られる映画、いわゆる、誰が観てもストーリーを理解でき、安心して楽しめる普通の映画。そんなルールの上で成立してる映画なんです。
が、本作はそうゆうルールや既存の映画コンテクストでは語りきることができない映画です
おれの筆ではなかなかうまく書きあらわせないんですが...
あえてゆうと「映画」とゆう芸術に内包されるもの---映像・物語・撮影・音楽・音響・美術・演技・衣装などなどなどなど---すべての構成要素の可能性をフルに使って、単なるストーリーテリング以上の体験をさせてくれる映画というか。
映画を観るというより、なんか異世界に入り込む感じ?とでもいうか...。
総合芸術としての映画がもつ未知数のポテンシャルをナイフでえぐり出して、血まみれのそれを、「どう?」と、ニコニコしながら見せつけられる感じで、よくも悪くもこのアクの強さにドン引きする人も多いかもしれない。
監督個人がどうしても語らなければならなかったことや、監督のトラウマから生まれた狂気じみたイマジネーションをすべてブチ込んだ超個人的な作品ってところは、ヤン・イクチュン監督の「息もできない」とまったく同じ映画論なんだけど、出来上がった両作品は、まったく違うアウトプットになるんだなー、と驚きました。
そして本作は全編にわたってかなり寓話的に、象徴的に、エロチックに、女性論そして男性論を語られてゆくのですが
「シュールだよね」とか、「哲学的だよね」、のひとことで片付けられかねない映像なりテーマなりを、映画じたいの語り口やクオリティを絶対に破綻させずエンタテインメントに仕上げたのが、ラース・フォン・トリアー監督の凄まじいバランス感覚といえましょう。
今回のアンチクライスト論、具体的なストーリー描写は避けます。てか全編にわたってこれでもか!とくりだされる圧倒的な映像を、各シーン各シーンいちいち細か〜く解説なり解釈なりしたくなるので、ものすごい長文になっちゃうんです
いや、この作品に歯が立たなくって逃げたわけじゃないってば!
じゃ、ここだけは言っとく
プロローグ、いきなり夫婦がセックスしてるスーパースローの映像と(「告白」よ、見習え!)
シャルロットゲンスブールのハード自慰シーン(ナタリーポートマンよ、見習え!)
はとりあえず必見!
いわばこの映画はホームドラマでもあり、恋愛映画でもあり、サイコホラー映画であり、悪魔をやっつける英雄譚でもあり、すっげーエロ映画であり、痛さ満載の暴力映画であり...。森という自然と、人間の理性との戦いでもあり...。
3.11以降の視線で観るとまた違う視点で観ることもできそう。
見た人の数だけ意見があって、各人フォーカスするところが全く違っていそうな、ある意味ものすごく懐の深い映画であることは間違いないにゃ。
う〜ん
ホラね?やっぱおれの筆ではうまく論じれなかったな
この映画の五感で感じる衝撃って、乱暴に例えると3D上映の感覚に近いから、ぜひぜひ劇場で観たほうがいいよ。DVDで観るとただストーリーを追わなきゃな感覚になっちゃって本作の魅力が半減しちゃううかも。まだやってるところもありますんで!何度も観てあーだこーだ考えたり、友達と論じあったりして楽しむには絶好の映画、ということだけは言っておこう。
映画という枠をとび超えた圧倒的なショック体験。
小学生のときはじめて小松左京の小説を読んだり、ガンダムやSWを見たときの
「なにこれ!?超スゲー!!世の中にこんなもんがあるんだ!!」感を与えてくれた本作が
三宿映画祭第2011上半期、ぶっちぎりの1位!です!
次回はサラッとワースト3発表!