2015/6月の新刊デザイン その1
ワッツア!
それでは前回ブログの予告どおりさっそくいってみましょう!
まずは1冊目。
著:谷口愛
装幀・本文デザイン:斉藤啓
カバー・本文写真:八田政玄
発行:世界文化社
仕様
判型・製本:四六判並製
カバー:オーロラコート/特2c/マットPP加工
表紙:ユニフェイスW/特1c
帯:オーロラコート/4c/グロスPP加工
見返し:ビオトープGA カカオビーンズ/90kg
本文:b7バルキー95kg
強烈なタイトルの本書はいわゆる女性のための自己啓発本でして、
ざくっとした内容を発行元の世界文化社のHPから引用すると...
ドバイで一目置かれる女性実業家が、逆境続きの半生から得た「幸せになれる」メンタリティを伝授
メディアも注目する女性実業家による女性のための「生き方」応援本。
父の失踪、突然の差し押さえ、15歳でホステスに……。突き落とされた奈落の底から這い上がり、逆境を乗り越え、
18歳で親の借金を完済。今やドバイで一目置かれる実業家。
いつからでもいくつからでも人は変われる!
ということなんですが、
おれ流にひとことで本書を言い表わすと
逆境を剛腕ではねのけたガッツリ肉食系女子のサクセスストーリー、
もしくは世間への復讐譚。って感じ。
文章からも、そしてとくに行間から、捕食系猛禽類のごとき「狩り」の本能が読んでとれます。
その行動原理が世の中的に正しいのか正しくないのかは置いといて
(書物や芸術っていうのはそれが正しいのか正しくないのかを決める場所ではないと思うんで)
むしろ「こうやって生きる以外無かった」っていう心の叫びこそが
強烈に純粋であり、正直であり、同時に痛ましくもあるなあー...
なんて思いながら読み終えました。
普通におもしろかったですよ。
装幀(←カバーや帯、表紙や見返しのデザインのことを指す)については
カバーはタイポグラフィのみ。ティファニーブルー&マットな質感で仕上げ、
ひるがえってオビは写真を用いてビっカビカのグロス仕上げ。
そして本書では本文デザインもがっつり担当しました。
なぜかというと、本文内にイメージ写真をたっぷり盛り込み
ビジュアルブックみたいな趣の構成だからなのです。
読むページあり
見るページもあり。
写真はすべて八田政玄さん。雰囲気のある写真をどっさりいただいたので
遠慮なくバンバカ使わせていただきました。
せっかくのステキな写真も、そのまま本文用紙に刷るとどうしても重く平坦になってしまいます。
(基本的にカバー等で使う用紙と、本文で使う用紙って違う。本文用紙は写真再現性が劣ります)
なので本文用紙にはb7バルキーという、写真再現性が高くかつ本文らしいラフ&スムースな手触りを持った紙を採用。
写真もシャドー部分はぐんと明るくふって、最大濃度をスミ95に補正するなどなど...、
まーひとことで本文デザインっていっても、
実はカバーデザインに勝るとも劣らぬいろいろな引き出しが必要とされる作業なわけでありますよ。
たとえば目次。読者にはアッサリ読み流されるであろうその部分を
ガッツリやるか適当に流すかでその本の格が決まります。
あ。そーだそーだ、
ブックデザインの仕事のやり方についてひとつ。
おれの場合はというか、たぶんあたりまえなんだけどまず
「原稿を読む」 ことからスタートします。
が、本書の場合、原稿がアップするはるか以前、
てかぶっちゃけ去年にはカバーデザインはほぼ済ませてしまいました。
↑左が今回の発刊ver。右がボツver。
出版社の都合、著者の都合、大人の世界はいろいろある!ことじたいは全然かまわないんですが、
企画の開始段階と原稿を読んだあとだと確実に感じ方・捉え方が違うし、
やはりイマジネーションの出発点になるのが「原稿」でなきゃいけないと啓、思うの。
おれとしては今のようなキリッとフェミニンなデザインもいいけど、
原稿を読み込んだうえでギラギラ肉食系デザインとか
いろいろ変わったことを試してみたかった!ってのが正〜直残念なとこです。
あ。今年食べににいった伊賀上野“金谷”の寿き焼きの画像を貼ってしまった。
まっ現実はすべて思ったとおりにはいかんもんだが
それもまたひとつ偶然の要素として創造的に取り入れていきまっしょ〜い。わっしょ〜い!
そのうえで肉食系はまた別の案件でトライってことで!
てな感じで本書が気になった方は
ぜひチェックしとけ!
↑このコーナーの決めゼリフ的な感じを考えたけどイマイチまだ決定されてない生な感じ。
+
以上、
どうでした?おれのデザインインプレッション第一弾。
どーいう感じで何を書いていいものやら?な感じで最後まできてしまったけど
カタすぎ?ねえカタすぎた?
次回もまた新ブックデザイン登場!おっ楽しみに〜